■年頭のご挨拶
  一般社団法人 全国建設業協会
会 長 近藤 晴貞

 平成30年の新春を迎え、謹んで年頭のご挨拶を申し上げます。

 平素は、全建の事業活動に対し格別のご支援・ご協力を賜り、改めて厚く御礼を申し上げます。

 昨年を振り返りますと、2012年12月から始まった国内経済の景気回復局面が「いざなぎ景気」を上回り、戦後2番目の長さとなったものの、過去の回復局面に比べると、景気回復に対する実感は乏しいとの声があがる1年でございました。そのような中、建設業界におきましては、公共事業費はここ数年、当初予算ベースで見れば安定的に推移している一方で、建設投資の偏りが見られ、首都圏と地方圏との事業量の地域間格差や大企業と中小建設業との企業間格差が近時一層拡大し、地域の建設企業の多くが厳しい経営環境を強いられた年でございました。

 また、昨年の大きな動きと致しまして、政府が、日本経済の再生に向けた最大のチャレンジとして位置付けている働き方改革への取組みを一層加速させ、一億総活躍社会を構築すべく開催された「働き方改革実現会議」では、建設業における長時間労働是正を含めた「働き方改革実行計画」の策定がなされました。建設業界では、これまでも「賃金・休日等の労働条件の改善」、「女性等の多様な人材が活躍できる環境整備」といった担い手の確保・育成に向けた様々な取組みを進めて来たところでございますが、今般の政府の要請は、業界内における改革のテンポの加速を求めるものでございます。

 私ども全建と致しましても、地域建設業が他産業との人材獲得競争を勝ち抜き、将来に亘って地域社会に貢献していくためには、企業の経営トップ自らが強力なリーダーシップを発揮し、週休2日制の普及など働き方改革を主導していく必要があると考え、その指針として「働き方改革行動憲章」を策定し、新たな決意の下、その取組みを進めているところでございます。

 ご承知のとおり、私ども地域建設業は、地域インフラの安定的な整備・維持管理を行う「地域の守り手」として、地域の安全・安心を確保するための「公的な任務の担い手」としての役割が期待されております。しかし、現在の状況がこのまま続くと、その役割を果たすことが困難となり、防災・減災対策や社会資本の整備・維持など地域を守る力も衰退しかねないとの懸念の声が多く寄せられております。

 担い手を確保し、生産性の向上を図り、私どもに課せられた社会的使命を今後も継続して果たしていくためには、何より地域建設企業の健全で安定した経営基盤の構築が必要であり、適正利潤の確保を謳った改正品確法の徹底に加え、我が国の厳しい財政状況下にあっても、事業量の安定的・持続的な確保が不可欠でございます。

 今年、全建は設立70周年を迎えます。これまで皆様方よりいただいた多大なご厚情に感謝申し上げますとともに、若者が夢をもって将来を託せる産業となるよう、これまでにも増して積極果敢に取組みを進めてまいりますので、引き続き、ご理解ご支援のほどよろしくお願い申し上げます。

 結びになりますが、皆様方のご健勝とご多幸を心から祈念いたしまして、私の年頭のご挨拶とさせていただきます。



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