ICT建機の使用状況を共有し稼働率を高める
 ICT推進委員会と日建連で意見交換会
平成29年9月14日



 ICT活用工事で意見を交わした

 ICT推進委員会は9月14日、建労センターで(一社)日本建設業連合会の土木情報技術部会情報共有専門部会(杉浦伸哉部会長)と、ICT活用工事の現状や課題などに関して意見を交わした。

 建設工事の生産性向上などを目的に、平成28年度から国直轄工事で発注されているICT活用工事(土工)は、全国的には予定価格を3億円以上を「発注者指定型」、3億円未満で土工量2万m3以上を「施工者希望T型」、3億円未満で2万m3未満を「施工者希望U型」として発注しているが、県内では同等規模の工事発注が困難なことから、2000m3以上を「発注者指定型」として発注している。

 推進委員会は、県内で発注されるICT活用工事は規模が小さいことから標準積算との乖離が生じ、採算性の確保が困難な状況にあると説明。「同一工事内で点在する複数個所の土工量を合算して発注され、ICT施工が実質的に困難な事例もあった。これまでの全国的な事例なども踏まえ、採算性が確保できる施工ボリュームはどの程度と把握しているか」と質問。これに対し、日建連は「現時点では、連続した施工現場で概ね10000m3程度が採算ラインと考えている。但し、ICT活用工事を何度か受注して効率的な作業法を確立できれば、5000m3でも利益を出すことも可能だろう」と返答。また、ICT建機の活用法について「台数が限られている地方では、業者間でICT建機の使用状況を共有し、稼働率を高める体制を整えている例もある」と解説するなど、他県での取り組み状況などを説明した。

 杉浦部会長は、ICT活用工事では発注者とコスト面の協議を行いがちになるが、ICT活用の本筋は、人材不足への対応や適切な休日の確保などを目的とする生産性の向上にあると強調。コスト縮減に重点を置くのは次の段階だとの見解を示した。その上で「このような共通認識の下、業界全体で足並みを揃えて発注者側に働きかける必要がある」と訴えた。また、沖縄県は他地域に比べて景況が好調なうえ、人口も増加傾向にあると指摘。「沖縄は建設業界においても今が変革のチャンス。勢いのある今のうちに積極的に生産性向上に務めれば、10年後ののびしろはさらに広がるはずだ」と期待を示した。



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